最近は地震が起こりそうもないところで大きな地震が発生することも珍しくありません。過去に何度も定期的に起きてきた南海トラフを震源とする地震では、前後に大きな地震がありました。大地震が起こらないににこしたことはありませんが、予知することはかなり困難です。 かといっていきなり大地震が起きても困ってしまいます。そこで、ここではどんなものがトラフ地震前に起きていたのかまとめていきます。
「半割れ」とは?
南海トラフ地震の危険性は毎年警鐘がならされています。 起きた場合の被害は相当甚大なものになるでしょう。 www.youtube.com そんななか国の検討会が「半割れ」 への対策案をまとめました。 聞きなれない言葉ですがどういう意味でしょうか。 「半割れ」とは、地震のすべてのエネルギーが放出されない状態を表します。 そのため、残る反対側地域で新たな巨大地震が誘発される可能性は高いままとなります。 通常大地震が起きると、たまっていたエネルギーは放出されます。 余震等はあるものの、これで当分大きい地震は起きないように思われます。 しかし過去の南海トラフ地震を振り返ると、いくつもの巨大地震が続けざまに起こるケースがあるのです。
過去の南海トラフ
過去には何度も南海トラフでの地震が発生しています。 ただし過去のものは津波堆積物の調査などからの推定となり、震源が確実に特定されにくいケースもあります
白鳳地震
飛鳥時代(592-710)も後半である684年11月26日に発生。 672年には壬申の乱もおきています。 「日本書紀」に記載もある大地震で、記録上の最古の津波が発生しています。 前兆としては、温泉の湧出が止まるといったことがあったようです。 [前後の地震] ●約7年前:679年には福岡で 筑紫地震(M 6.5〜7.5)。
仁和地震
約200年後の887年8月22日に発生。 時代は平安時代(794 – 1185年)であり、遣唐使廃止などが行われていたころです。 「日本三代実録」に記載もある大地震です。 [前後の地震] ●約18年前:869年には、貞観地震が発生。陸奥国などで津波被害が起きています。 ちょうど2011年の東日本大震災を連想させるような地震ですが、それから18年後にこの仁和が地震が起きていることになります。 ●約9年前:878年10月28日に関東地方で相模・武蔵地震(M 7.4)。 ●約7年前:880年11月19日に島根(出雲)で地震(M 7)。 ●約1年前:886年6月29日伊豆諸島で噴火。
永長地震・康和地震
約200年後に発生。 永長地震は、1096年12月11日。康和地震は1099年2月16日に発生。 時代は平安時代(794 – 1185年)後半で、源平の勃興期です。 [前後の地震] ●約8年前:1088年6月4日、岩手(宮古)で地震・大津波。こちらも東日本大震災を連想させるような地震ですが、8年後に南海トラフが起きたことになります。
紀伊・摂津地震、正平地震
約260年後であるである1360年11月13・14日に 紀伊・摂津地震が発生。 正平地震は、1361年7月26日に発生。 時代は室町時代 (1336 - 1573年)です。 「太平記」に記載もある大地震です。 [前後の地震] ●約29年前:1331年 8月7日和歌山(紀伊) M 7.0以上で地震。 8月11日元弘地震はM7で東海地震である可能性も。
明応地震
約130年後である、1498年9月11日に発生。 時代は戦国時代 (1493 - 1573年)に差し掛かります。 [前後の地震] ●約24年前:1474年 - 1475年で京都で大地震。
慶長地震
約106年後である、1605年2月3日に発生。 時代は江戸時代 (1603 - 1868年)で、徳川体制が確立してすぐのころです。 [前後の地震] 1596年から1615年は、特に地震が多い期間だったようです。 ●約19年前:1586年1月18日 天正地震(東海東山道地震、飛騨・美濃・近江地震) ●約9年前:特に1596年は、和歌山、大分、大阪付近で相次いで地震が発生。 慶長伊予地震は、1596年9月1日に発生。伊予国なので和歌山県あたりでしょうか。 慶長豊後地震は、1596年9月4日。豊後国なので大分県あたり。 慶長伏見地震は、1596年9月5日。畿内で大阪あたりでしょうか。 ●約6年後:1611年 9月27日 会津地震。 12月2日慶長三陸地震。
宝永地震
約103年後である、1707年10月28日に発生。 時代は江戸時代 (1603 - 1868年)です。 [前後の地震] ●約7年前:1700年4月15日、壱岐・対馬地震 ●約4年前:1703年 12月31日、関東南部で元禄地震
安政東海地震・南海地震
約147年後である、1854年に発生。 安政南海地震1854年12月23日、安政南海地震1854年12月24日です。 1853年にはペリーが来てましたから、江戸時代終焉の節目の時期といえるかもしれません。 [前後の地震] ●約11年前:1843年4月25日、北海道で天保十勝沖地震 ●約7年前:1847年 5月8日、長野県で善光寺地震 ●約1年前:1853年3月11日、神奈川で小田原地震 ●約1年後:1855年 3月18日飛騨地震 9月13日 陸前で地震 11月7日遠州灘で地震 11月11日 安政江戸地震 ●約2年後:1856年8月23日 三陸沖北部で安政八戸沖地震
昭和東南海地震・南海地震
約90年後である、1944年に発生。 昭和東南海地震1944年12月7日 昭和南海地震1946年12月21日 1945年8月14日にポツダム宣言が受託されており、まさに日本敗戦という大きな節目の前後に発生したことになります。 [前後の地震] ●約4年前:1940年8月2日、北海道で 積丹半島沖地震 ●約3年前:1941年7月15日 長野地震 11月19日 宮崎県で日向灘地震 ●約1年前:1943年6月13日 青森県東方沖で地震 9月10日 鳥取地震 参考: 南海トラフ巨大地震 - Wikipedia 地震の年表 (日本) - Wikipedia
前後の地震はどの程度関係ある?
過去の地震は、堆積物や歴史資料をもとにした推測が多くなるため、完全に正しくまとめるのは難しそうです。 東日本大震災のような三陸沖の地震について着目してみると、仁和地震の18年前に貞観地震が、永長地震の8年前に宮古沖地震が起きているケースがあります。 一方で慶長三陸地震は慶長地震の6年後、三陸沖北部は安政南海地震の2年後となっています。 南海トラフや三陸沖の震源が相互に影響を及ぼしているとしても、必ず一方が先に起きて...ということではなさそうです。 昨今では、九州から大阪方面へと大地震が移動してきています。 これは慶長地震の9年前に大分や和歌山、大阪で先に地震が起きているところと似ている感もあります。 現在の状況が1944年の昭和東南海地震・南海地震のころに類似しているという意見もあります。
1925年の北但馬地震(兵庫北部/M6.8)に対し、一般的に阪神・淡路大震災と呼ばれる、1995年の兵庫県南部地震(M7.3)。1933年の昭和三陸地震(宮城沖/M8.1)に対し、2011年の東日本大震災(宮城沖/M8.4)。1941年の日向灘地震(宮崎日向灘震源/M7.2)に対し、2016年の熊本地震(M7.3)などが近いエリアで起こっている地震だという。
参考:近年の大地震は90年前に酷似“連鎖シナリオ”専門家が指摘 | 女性自身 また直下型地震の傾向から類似性を指摘する声もあります。
西日本では南海トラフ地震の前に、直下型地震が起こる傾向がある。 ...南海トラフ地震はこれまで13回起きており、直近のものとしては1944年に発生した東南海地震と46年に起きた南海地震がありました。そして、いずれの巨大地震もその前には、北丹後地震や但馬地震と呼ばれる直下型地震が起きているのは紛れもない事実です。 ...直下型の最近のものは、2013年に淡路島付近を震源として発生したM6.3震度6弱の地震や、15年の徳島県南部を震源とするM5.0震度5強の地震がある
参考: 日本激震列島“逃げ場なし”(1)「大阪直下の揺れで南海トラフ地震が迫る!」 | アサ芸プラス 今のところ、規則性をはっきり抽出するのは難しいと思います。 ただし過去のあるパターンに似ていることから、思ったよりも大地震が来る可能性が早いのでは...などと日ごろから予測して注意しておくことも大事に思います。
他の自然現象との関連は?
太陽黒点と関連は?
黒点数とてらしあわせてみると
- 1707年33.3
- 1854年39.0
- 1944年16.1
となっています。 サンプル数が少ないため、黒点数をそのまま予知に利用するのは難しいでしょう。 ただし黒点数が多い時期には起きにくい...ということはあるのかもしれません。 ちなみに2017年は21.7となっています。 参考:Sunspot Number | SILSO
ラニーニャや黒潮大蛇行との関係は?
トカナの記事ですが、ラニーニャや黒潮大蛇行の終焉時期に巨大地震が起きやすいとの記事も出ています。 (2ページ目)【緊急警告】夏の終わりまでに南海トラフ巨大地震発生か!? 「ラニーニャ現象」と「黒潮の大蛇行」終息は大地震の“合図”!