コロナ恐慌では、需要の多い外食店や観光に真っ先に影響が出ました。 しかしコロナ感染にともなう営業停止や、中国からの部品調達の遅れなどから、マンションや住宅建設への影響が目立つようになりました。
不動産業界への影響は?
Ford Mansion: Living Room / JoeInSouthernCA
今のところ中古マンション価格推移・住宅価格推移などのデータでは大きな影響は出ていません。 これはまだ最新データが出そろっていないこともあると思いますので、データが出次第更新したいと思います。
ただし足元では新築マンション・一戸建て販売はストップし、モデルルームすら閉鎖という状況です。
大手ですら3月は二けた減は当たり前。今後の数字が恐ろしいぐらいです。
「理論価格がまったく成立しない」マンション大暴落の底なし沼 不動産コンサルも頭を抱える (2/4) | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
ユーザーの購入マインド低下は明らかで、アメリカでも買い時とするユーザは減少中。
支払えない事業者が多発する可能性は多く、さらにモラトリアム(支払い猶予)を求める声は国内外で出始めております。 これが拡大すればするほど混乱は拡大し、モラトリアム実施となれば大家さんへの大打撃になりかねません。 また、コロナがある程度収束したとしても、リモートになれてしまった人が増えることでオフィス需要は減少するのではないかと考える方も少なからずいるようです。
事業用不動産の新型コロナ終息後の回復に影 | TechCrunch Japan
4月
首都圏の新築マンション発売戸数は過去最少となりました。コロナ自粛で販売が絞られたうえ、モデルルームの閉鎖なども響いた模様。
新型コロナ:4月の首都圏新築マンション発売戸数、過去最少に :日本経済新聞
また、 ある調査によれば、4月に家賃滞納・解約相談があったのは不動産会社の35%にも達しているといいます。
6月
寡占化が進む不動産業界ですが、大手不動産6社のうち三井不動産、東急不動産など
5社は全て今季減益との予想を出しています。三井不動産に住友不が下剋上!強みの「ららぽーと」がコロナで窮地に | バブル崩壊 不動産withコロナ | ダイヤモンド・オンライン
一方で緊急事態宣言・東京アラートが解除され、満員電車が戻ってきています。
テレワークを継続する企業はおそらくかなり少ないでしょうし、言われていたほどオフィス需要自体は落ちないかもしれません。
まだ最新データは出ていませんが、ホテル・宿泊は大幅下落、オフィスや住宅はやや低調、物流施設は拡大基調...といったところではないでしょうか。
7月
・渋谷区の空室率上昇が高く、テレワークに向いてる企業が多い結果かもしれません。
東京ビジネス地区の地区別平均空室率
— Strainer (@strainerjp) 2020年7月18日
2020年2月→2020年6月
5区平均:1.5%→2.0%(▲0.5pt)
渋谷区:1.9%→3.4%(▲1.5pt)
千代田区:1.3%→1.4%(▲1.0pt)
港区:1.7%→2.3%(▲0.6pt)
新宿区:1.6%→2.2%(▲0.6pt)
中央区:1.2%→1.4%(▲0.2pt)
渋谷区の空室率の上昇が顕著 pic.twitter.com/LAWxOZsWMb
・海外を見てみると、高級住宅の販売はかなり落ち込んでいます。裕福な方は、利便性の高い都市部よりも距離が保てる郊外へ...という傾向があるのかもしれません。
NY超高級住宅販売が70%減、世界最大の落ち込み-ロンドンは68%減 - Bloomberg
マンハッタンも低くなってます。内見自体ができないことも影響してそうです。
4月~6月19日、マンハッタンの売買契約成立率は、前年同期比で約8割も減少。 pic.twitter.com/dNqb4VfRNk
— ロイター (@ReutersJapan) 2020年7月23日
一方戸建ては好調でした。
米新築住宅販売、6月は13年ぶり高水準 郊外大型物件が人気 | Article [AMP] | Reuters
日本では、ミニ戸建てや郊外の中古戸建への需要が見られます。
契約が伸びる「ミニ戸建て住宅」コロナで「タワマン離れ」も? - ライブドアニュース
・店舗では、吉野家は150店、ラオックスは12店、とらのあなが8店舗を年内閉店します。海外ではダンキンやデニーズ、TGI Fridaysなどが店舗閉店を発表しています。特にオフィス街の飲食店店舗については警戒が必要です。
8月
ITベンチャーなどの多い渋谷が他地域よりもオフィス離れが加速しているとして話題となりました。各地空室率は上昇中。不思議なことに賃料も上がっていますが、今後調整することが予想されます。
2008年頃の動きを見ると空室率は10%近くまで上昇していきそう
— Kohei Ando (@ando_kohei) 2020年8月23日
2013年以降に高騰が続いてた賃料は調整局面に入る見通し
NAM J-REITレポート
都心5区オフィス空室率 5ヵ月連続上昇https://t.co/M5SGkYHt6d pic.twitter.com/1FdK1j5i9u
9月
「東京都から転出する人が転入する人を上回り2522人の「転出超過」となった」...となり、今後もこのトレンドが続くかどうか注視されます。
人口飲み込む東京に変化の兆し 出社減、転出超過続く:朝日新聞デジタル
都内の不動産の利回りについては上昇がみられるとする意見があります。ただし、物件数自体がかなり出ていないでその影響かもしれません。
コロナで東京の物件は安くなったか?不動産投資のプロが独自データで分析=姫野秀樹 | マネーボイス
10月
NHKの番組では、コロナ不況でやむえず処分されたような格安物件をAIで抽出。いち早く購入して転売している投資家さんが紹介されていました。
このようにマネーを投じる動きもなくはないですが、相場全体を押し上げるようなインパクトがあるかどうかは、もう少々様子を見たほうがいいかもしれません。
2020年の地価調査結果では、商業地の下落が目立ちました。
観光客の減少を受け、浅草やミナミ、奥飛騨温泉郷といったところは下落。
一方で別荘地や都内の戸建て住宅などでは堅調なところもあります。
地価調査 コロナ影響 で「下落」 一部テレワークで「上昇」も | 新型コロナ 経済影響 | NHKニュース
都道府県別では宮城県、東京都、福岡県、大分県、沖縄県だけがプラスでした。
日本を襲う地価下落。コロナ禍でも上昇した選ばれし市区町村とは?=姫野秀喜 | マネーボイス
アメリカのほうでは、NYやサンフランシスコなどのぢ都市では賃料は急落。郊外よりで不人気な場所でも上昇傾向にあるようです。
NYとサンフランシスコでアパート賃料急落、在宅勤務の台頭で打撃 - Bloomberg
不動産業界の対策は?
公的サポートをアドバイスする
支払いに困っている借り手さんをサポートしてあげることも顧客サービスになるでしょう。
「住居確保給付金」「緊急小口資金」などの公的支援制度があります。 支援自体を知らない入居者の方も多いでしょうから、各種支援についてアドバイスしておくことも大事でしょう。
実際に「減額要求」や「滞納」が増え、対策として「補助金の資料を作成し入居者に配布した」というところもあるようです。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000543.000006823.html
新規需要を掘り起こす
コロナ対策として、都心部のマンションから郊外の一軒家のほうを物色する傾向も強まりつつあります。
家自体をリモート用に最適化(防音、ハイスピードインターネットなど)するニーズも増えています。
アメリカでは事務スペースなどを兼ね備えた郊外の大型物件が人気となり、日本でも同様の傾向が出るかもしれません。
リモートオフィス・ソーシャルディスタンス対策
今の時代に即した提案を大家さん・借主さん双方に提案していく必要があるでしょう。
リモートオフィスの増加で、高速WiFiの設置・テレビ会議などで自宅で大きな声でしゃべっていても隣の部屋に伝わらない防音対策などへの需要は高まってくると思います。
家庭で仕事をするために仕事部屋の改築をする必要が出てくるかもしれません。
自動ドアなど非接触で移動できる建物・検温器を入り口に設置した施設などもニーズは増えるかもしれません。
外食店の継続は厳しいですが、デリバリー専門の店舗へ改装といった提案も大事かもしれません。 ドライブスルーへの対応提案などもありでしょう。
建設業界への影響は?
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[コロナ対策 経済編]