今年は(も?)次々といろんな災害に悩まされる1年になりそうです暖冬による水不足やアフリカで発生しているバッタ被害の拡大も懸念されます。
ここではバッタ被害がどこまで広がり、日本へ影響がでるかどうかなどについて調べてみました。
蝗害とは?
歴史の本や映画などを見ていると、定期的にバッタの大群が発生し、農産物を食い荒らす被害が起きているのがわかります。
まさにそんな事態がアフリカ東部起きています。
ケニア、エチオピア、ソマリアなどでサバクトビバッタが大量発生しました。
ソマリは非常事態宣言を発するほどの事態となっています。
インド洋西部の海水温度が上昇する「インド洋ダイポールモード現象」などが原因として考えられるようです。
参考:アフリカ、バッタ大量発生で食糧・農業に危機 (写真=AP) :日本経済新聞
(更新 2020/7/12)
適宜更新しているようにアフリカ、アジア、さらには南米でもバッタ被害が拡大中。
FAOによれば、被害がこのまま拡大し続ければ「地球の土地の約20%、世界人口の約10分の1がダメージを受ける」と警告をしています。
コロナにバッタ、大雨洪水に地震と、非常に地球上の環境が不安定な印象を受けます。
参考:「地上の約20%がバッタ巨大群の被害を受ける」――FAO警告の衝撃(六辻彰二) - 個人 - Yahoo!ニュース
各国の被害状況
インド
今後のイナゴの大群の推移によっては、被害がさらに拡大しそうです。
outlookindia誌によれば、アフリカ東部で発生したバッタの大群はパキスタンやインド北西部へも押し寄せます。
すでにパキスタンでは非常事態宣言が出され、農産物の40%も?被害にあっているようです。このため中国へ支援を要請しており、殺虫剤の提供などの対策が進められそうです。
China, India to join hands to fight worst Locust outbreak in Pakistan
インドではこの早期警戒のためドローンを手配したりして準備を進めています。
India buys drones, specialist equipment to avert new locust attack - ロイター
2003-04年にバッタ被害が発生したときは、アフリカ・アジアあわせて23か国へ被害が発生、ばらまかれた殺虫剤は500億円分と相当な量だったそうです。
2019年にも被害が出ており、このままいけば2020年にもまた大きな被害出ることになるでしょう。
(更新 2020/5/31)
インドでの被害が拡大中。飛行機がバッタ被害で運航に支障が出たり、機体損傷の危険性が増大しています。
India braces for worst locust invasion in decades — in pictures https://t.co/aajVcGTMSr pic.twitter.com/1uCJWOZWHL
— Al Jazeera English (@AJEnglish) 2020年5月29日
中国
バッタがこのまま東部へ進んでくると、気になるのは中国への到達です。
ただし、インドと中国の間にはヒマラヤや崑崙山脈があります。
バッタはそれほど高地へ行けませんので、大群がそのまま中国までなだれ込む...といった可能性は少ないようです。
バッタのモニタリングや対策の薬剤の備えなどもあり、現時点ではバッタ大発生リスクは少ないとされています。
複数の国で大規模な蝗害、中国で発生するリスクは?--人民網日本語版--人民日報
またバッタ被害に備えて大量の「アヒル」を利用という情報も出ています。ただこれは少々ネタっぽい感じで、いわゆるフェイク系の情報のようです。
China unleashes 100,000 specially trained ‘duck troops’ to take on swarms of locusts approaching China from its border with India and Pakistan. Each duck can consume up to 400 locusts a day.
— Eva Zheng 郑怡斌 عائشة (@evazhengll) 2020年2月20日
Chinese zoologists are in research of containing locust plague with genetic modification. pic.twitter.com/aXTxERdtLZ
中国に関して言えば、むしろ「ツマジロクサヨトウ」という蛾による被害が懸念されています。
中国西部の雲南省などで確認されており、2019年時点で被害が確認されています。
「ツマジロクサヨトウ」は繁殖力が強いこともあって、2020年はさらなる被害をおよぼす懸念が高まっています。
(更新 2020/7/12)
中国雲南省にバッタの大群が押し寄せたようです。
昆虫は詳しくないのですが「Yellow-Spined Bamboo Locust(Ceracris kiangsu Tsai)・黄脊竹蝗」というもので、「サバクトビバッタ」とは異なるようには思います。
こちらのバッタの動向も気になるところです。
参考:雲南省のラオス国境付近にバッタの大群、ドローンで防除作業 写真6枚 国際ニュース:AFPBB News
ベトナム
中国との国境地域に中国側から大量のバッタが来襲。いわゆる「サバクトビバッタ」ではないとのことで、「黄脊竹蝗」かもしれません。
参考:ディエンビエン省:中国国境からバッタが大量飛来、作物20haに被害 [社会] - VIETJOベトナムニュース
南米
なんと南米でもバッタ被害が出ているそうです。こちらのバッタは「ミナミアメリカバッタ」という種類が中心です。
4千万匹のバッタ、アルゼンチンを南下 農作物に被害:朝日新聞デジタル
パラグアイで発生したバッタがアルゼンチンへ到来。今後はウルグアイやブラジルに到達することが危惧されます。
中南米は2020年6月現在はコロナ感染の真っ最中です。コロナとバッタのダブルでさらに悪影響が出ないか非常に心配です。
北米・アメリカ
南米のバッタが順調に北上してくるとなると、アメリカへと到達するリスクについても考えないといけません。
特に日本は小麦、トウモロコシは輸入のうち半分がアメリカ、大豆は6割にもなります。
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/jki/j_rep/annual/2014/pdf/iii_1.pdf
トウモロコシの国別生産量は、1位アメリカ、2位中国です。
収穫時期は9-11月ころですので、バッタが8-9月に到着するようですと被害は大きくなりそうです。
参考:
グラフでみるとうもろこし | トウモロコシノセカイ|とうもろこしの総合情報サイト
https://www.alic.go.jp/content/000131320.pdf
大豆の国別生産量は1位ブラジル、2位米国、3位アルゼンチンです。
収穫は10月ころです。
参考:
コラム|専門家紹介サイト マイアドバイザー.jp 講演・講義・執筆・相談
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/jki/j_rep/annual/2016/attach/pdf/2016_annual_report-29.pdf
既にサンサルバドルといった中米でもバッタ被害は出始めているようです。被害がメキシコ、そしてアメリカを直撃しないか注視する必要があります。
イギリス
イギリスでは羽アリが大量発生。なんと天気レーダー上では雨雲と見間違うほどの量となっています。
いったいどうなってるんだ、地球さん。
A 50-mile-wide swarm of flying ants has been making its way over the UK - and it's so huge that it has been spotted from space 🐜
— SkyNews (@SkyNews) 2020年7月18日
The enormous cloud of insects was picked up by the Met Office's weather radar over England's southeast coast.
Read more: https://t.co/gaw19BvXXi pic.twitter.com/wg8ayqjrcO
日本は大丈夫?
海で隔てられているので、そういう意味ではバッタ到来からは安心感はあります。
ただしバッタの量が膨大なので人海戦術ならぬバッタ海戦術があるかもしれません。
バッタの死骸が散り積もった結果道のようになり、バッタが海を越えてくる可能性があるとする人もいます。注意は必要でしょう。
中国がバッタ被害にあえば、中国から日本への農産物に影響が出る可能性が考えられます。コロナウィルスの影響では、玉ねぎやニンジンなどの野菜に影響が出ました。
https://www.agrinews.co.jp/p50006.html
対策は?
バッタが到来しているインドでは以下の対策を行っています。
- 飛行機などは運航に注意する
- 車は窓を閉めて運航する
- 植物はプラスチックなどで覆って防御する
- バッタの活動しない夜間に殺虫剤を撒く
- 太鼓をたたきバッタがよってこないようにする
バッタの移動先は風向きにも影響されるようです。よって風下の場所はより早期に対策を講じる必要がありそうです。
[異常気象 攻略記事]